競作、香水、カクテルピアノ。blue art - サカナクション山口一郎さん

二人の、大事な「青」を教えてください。Brutus編集長の西田さんと、サカナクションの山口さんに聞きました。「青」にまつわる物語を集めるプロジェクト blue art. 二人が大事にしている青いもの、青い記憶、青い時間。僕は企画と司会を担当しました。走り書きのメモを残しておきます。

今日はまず山口一郎さんのお話。詳しくはウェブサイトのインタビューにあります。全体を通して彼のセレクションは、創作の、思考の、次の作品のきっかけになるもの。過去の、未来の、創造性を支えるもの。

kolorのセットアップを着ていたことがきっかけで、新たな出会いが開けたエピソードや、お父さんからもらった本がきっかけでアイヌの世界に興味を持つことになるお話など。その他、サカナクションのライブステージ衣装として、スタイリストの三田さんとETHOSENSのデザイナーの方に競作をしてもらったとのエピソード。

http://blueart-bombay.com/home/yamaguchi-interview04

この「競作」で思い出したのはケンゾーパルファムのクリエイティブディレクター、パトリック・グエジ氏の香水の作り方です。グエジ氏はディレクションをするにあたり、香水のイメージを、まずコンセプチュアルな映像作品として描き出すそうです。それをボトルのデザイナーと調香師、それぞれに見せ、インスピレーションの源にしてもらう。ただしボトルデザイナーと調香師は独立して仕事を進めるそうで、途中の意見交換の機会は一切作らない。グエジ氏だけが両方をみながらディレクションをする、と。双方が完成して初めて、完成系が一つに結実する。そして当人たちは最後までそれがどう組み合わさるのかわからない。暗中模索のなか、互いの存在感を感じ、想像し、いつの間にか一つの世界で交わる、二つの創造性。それは揃ったものか、バラバラなものか。

Air Intense by Kenzo という香水が嘗てありました。今は廃盤。当時日本のケンゾーパルファムのGMだった福岡英一さんが最も気に入っていたというこの香水もグエジ氏によるもので、テーマは確か「夏の日の少年の記憶」だったように思います。少年の夢、だったか。彫刻家によるボトルのデザイン、調香師による香りのデザインの競作。艶やかな氷塊が日光の下で溶け出して滑らかになり、コバルトブルーの空を映し出した、ようなボトル。そしてアニスなんかのアクセントがきいた、少しオリエンタルで涼やかな香り。ボトルも香りも、僕も大好きで、 blue art のトークショーは2回ともこの香りを纏い出かけました。先の「競作」との共鳴は、偶然でした。後から気づいた。

http://www.amazon.co.jp/dp/B00565T67W

その他、香水といえば山口さんはCLEANの香水もセレクトしています。その背景として、香りを音で表現したい(もしくはその逆だったか?)とのお話。ここで思い返したのは、ボリス・ヴィアンの小説「うたかたの日々」に登場する、「カクテルピアノ」という道具です。ピアノの鍵盤一つひとつに対応づけられた香りや味のエッセンス。一曲を弾き終わったときに完成する特別な調合のお酒。想像上の美しいオブジェです。無駄と実用の出会い。山口さんのお話に登場する、「照らさない照明」に近い、矛盾に満ちた魅力があります。

http://www.amazon.co.jp/dp/4151200142

2週間、 TSUTAYA SHIBUYAにてこの展示は続きます。

blueart-bombay.com

展示空間はこんな様子です。